• みずがめ座の物語 - [★アニコミドラマ★]

    2008-09-03

    みずがめ座の物語

    朗読(ろうどく):神谷浩史

    目を引くような耀かしい星もなく、何と無く過ぎ去って行く秋の星座たち、その中でも取り分け地味なのが、このみずがめ座です。ぺガススやカシオペアは特徴的な形をしていますが、みずがめ座を作っている星は全体的に暗く、形も曖昧で、見付けるのが大変です。

    そんなみずがめ座の中で唯一(ゆいつ)分かり易い部分は少年が水瓶を持つ手の部分です。ここは星がYの字に一塊(ひとかたまり)になっているので、よく目を凝(こ)らして見れば見付かれるかもしれません。このYの字の西側が水瓶を持つ少年、東側が水瓶から零れ落ちる水を表す部分になっています。

    さて、水瓶を持っているこの少年の正体ですが、ギリシア神話ではトロイア王トロースの息子ガニメーデスと伝えられています。ガニメーデスは愛犬と共に羊の番をしながら暮らしている心優しい少年だったと言われています。

    ある日のこと。いつものようにガニメーデスがトロイ平原で羊の番をしていると、突然、大きな黒ワシが現れて、ガニメーデスを掴(つか)み、そのまま空高く飛び去ってしまったのです。いきなり息子を攫(さら)われた両親は悲しみに暮れ、毎日泣き暮らしていました。

    そんな両親の元へある日見慣れない若者が遣ってきました。そして、その若者は両親にガニメーデスが連れて行かれた理由を語ったのです。つい最近まで、オリンポス宮殿(きゅうでん)において宴会の席でのお酌はヘーべという女神が勤めていました、しかしヘーべがヘルクレスと結婚したので、ゼウスは代わりとなる者を探していたのです。へーべをとっても気に入たゼウスはなかなか代わりを見付けませんでした。そんな時稀(まれ)に見る美少年のガニメーデスを見かけたゼウスは一目で気に入り、彼を宮殿に連れて来たのです。そして、ガニメーデスに永遠の命と美しさを与(あた)え、新しいお酌係りに任命したという事だったのです。

    両親はガニメーデスを連れて行ったのがゼウスだったと知ると、大変喜びました。なぜなら、神様のもとで働けるのはとっても名誉(めいよ)な事からです。そして、ガニメーデスもまた神々に気に入られ、幸せに暮らしたそうです。

    その後(ご)、ガニメーデスがみずがめ座として天(てん)に上げられました。

    星となったガニメーデスは大きな水瓶を肩に担(かつ)ぎ、その瓶から流れ落ちる水は南の魚座の口に注(そそ)がれています。また、ガニメーデスを攫(さら)った黒ワシですが、こちらも空に上げられ鷲座になりました。

    もともと、みずがめ座の語源であるアクアリウスには、水を持つ男や水を運ぶ男と言った意味があり。ギリシアでガニメーデスの話が出来るよりずっと前。古代バビロニアの頃には既に水瓶を傾(かたむ)ける少年として表現されていたそうです。また、古代エジプトなとではナイル川が氾濫(はんらん)するのは男が大きな水瓶を川に投げ入れて、水を汲もうとするためだっと信じられていました。

    また、Yの字の部分ですが、アラビアではペンと、中国ではお墓をイメージするものだったようです。場所や時代によって同じ星座でも様々な見方をされていたのですね。あなたは秋の空に輝くあの星を見て、何を思うでしょうか。

    以上、みずがめ座の物語です。